子供、要らないと思ってた。
自分の遺伝子が気持ち悪いと思ってた。
自分の持ってる柵が血縁の事とか揉め事とか、そんなものに巻き込ませたくなかったし、そんな禍々しいものの渦中に自分がいることも吐き気がするほど嫌だったから、そんなところに放り出そうとも思えないし、守りきれるなんて確証も無かったから。
自分の中に自分の遺伝子を、血を持つものを宿すなんて嫌だ、と思ってた。

我侭でもなんでも、そう思ってた。
少なくとも7年前までは、そう思っていた。
子供が欲しいんなら養子と言う選択肢も有るのだとさえ思っていた。

人間て変われば変わるもので。
この人の子供なら欲しいと思ってしまえる事もあって。
考え様によっては空恐ろしい事を思っていたものだと今なら笑えもするんだけど、本気で思ってたんだよねぇ。
今では不妊治療に類する行動を起こしてるって言うのにさ。でも。
「今、ここに本当に宿るのかもしれない」と思ってしまったら、思わず話し掛けてしまったんだ。

「本当に良いのかい?今の私に、君の母になる資格はあるのかい?
本当に、今ここに君が宿っているのか、そうしようとしているのかは判らないけど、もしそうなら、今ならまだ間に合うから、選択して欲しい。
本当に今の私で良いのか。こんな事を言える、考える私で良いのか。
薬を使ってまで、本当に君が欲しいのか判らない、なんて事を今更考えてる。
妻としての役目さえも上手く出来ていないのに、母になるってことが出来るのかなんて思ってる。
だから
本当に良い、と思ったときに来てくれる?」

拒絶してたんだと思う。
それでもどこか期待してる我侭。最低だなぁ、と思った。

その翌日、予定より3日遅れて出血した。
いつも異常に短い周期で来ていたから、10年ぶりくらいにまともな周期で来たそれは、異常に多くて、拒絶したものを吐き出したような気がした。

気のせいかもしれないけど。


「病院通うの止めようかなぁ」
数年ぶりに訪れた酷い生理痛だと言った私が言った言葉に、
「なんで?痛いから?」と夫。
そんなんじゃないけどさぁ、と呟いた。

なにも言えない。
最初からいなかったのかもしれない。風邪で、ちょっとずれてしまっただけとも思う。
でも、もし居たとしたら、酷い事を言った。

まだ要らないから来ないで、君は今必要じゃない。
私の都合がついたら戻っておいで。

ごめんなさい。昨夜、本気で離婚なんか考えてました。
今日、朝っぱらから「痛い〜」とうめく私のお腹をさすってくれた君なのに。

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